料理人の思考回路
よくマスターは料理を教えてほしいと言われます
たとえばトマトソースの作り方を聞かれると
僕は玉葱をみじん切りにして、オリーブオイルで炒めて
サンマルツァーノの水煮(イタリアのトマトで加熱用に改良された品種)
を入れて煮込むんですよ、と答えます
するとね「塩は何g位入れるんですか?」と必ず聞かれるので
マスターは「美味しくなる程度」と答えます
料理には大まかな決まりは有っても、細かい設計図というのはありません
だから塩を何gとか、玉葱をどれ位とか、正直答えはありません
食材というのは生き物なので一つ一つ味が違います
水っぽい新玉葱、熟成の進んだ玉葱、辛い玉葱、甘い玉葱
酸味の強いトマト、甘いトマト、味の薄いトマト、濃厚なトマト
海から取れた海塩、山から取れた岩塩、単純な味の精製塩
状況によっても毎回違うんです
料理って言うのは自分の前にある素材を最高の状態に引き上げる事であり
決まった作り方という枠に、はめる事ではないんですね
塩を何g入れるか考える前に食材を見て下さい
あなたの目の前にあるのはどんな素材ですか?
そうすると今度は質問の方向が変わってくるはずです
酸味の強いトマトを甘くするにはどうしたらいいですか?とか
今日の玉葱は小さいから2個入れたほうがいいですか?とか
そういう質問は凄くいいです 素材に焦点があっています
まず玉葱をみじん切りにします そこで一回食べてみてください
どんな味がしましたか? その味を忘れないうちに
今度はオリーブオイルでソテーします また食べて下さい
どう変化しましたか? 美味しくなりましたか?
次にサンマルツァーノの水煮を入れます これも入れる前に食べて下さい
この二つを最高の状態にしてあげるのが、あなたのトマトソースです
味付けは彼らと相談して決めて下さい
一番大切なのは彼らとの対話なのですから・・・
たまにはこんな話もしないとね